弥生屋in注染工場

弥生屋のゆかたは伝統工芸「注染」で染めたゆかたです。

 

現在注染工場は全国で10件ほどしかありません。

その中でも手ぬぐい専門の注染工場がほとんどで、ゆかたの染めを行える工場は更に限られ、とても貴重な存在です。

ゆかたの本場は関東。

弥生屋のゆかたは、ゆかたで有名な老舗ブランドさんと同じ大正5年創業の東京都江戸川区の染工所で染めて頂いています。

 

今回念願叶って弥生屋のゆかたを染めて頂いている注染工場さんに伺って来ました。

 通常は見学できない染工所に今回無理を言って訪問をお願いしたのには弥生屋の想いがありました。

 

今夏初お披露目となった弥生屋のゆかたはこだわりの「綿ちりめん」という特殊な生地。実はこの生地と弥生屋のお願いした色の染料の相性が悪かったようでなかなか上手く染まらず、何度も染め直しをお願いしてようやく仕上げて頂くという経緯がありました。

まさに熟練の職人さん泣かせだった弥生屋のゆかた。

弥生屋も泣きましたが職人さんも辛かったに違いありません。

随分と難儀をかけてしまったので、どうしても直接訪問してご挨拶したかったのです。

ようやくご挨拶できて嬉しかった事は勿論、直接現場を見せて頂き、貴重なお話も聞かせて頂きました。

 

注染の工程の説明もかねてご紹介します。

 

1.練地,地巻

 

 

 

 

練地(ねりじ)・・・機屋さんで織られたゆかたの反物は、染料の浸透をよくするためあらかじめ薬剤に浸します。

 

地巻(じまき)・・・乾かした生地を巻取機で丸巻にします。

          

          

 

 

2.板場での工程(型置き)

 

 

 

 

 

 

弥生屋でデザインして彫ってもらったラブレターの型紙。

手ぬぐい1枚分の型紙です。

型紙を木枠に張り、固定してから生地の上に載せます。

型にも種類があり、最初にきちんと型を張らないと綺麗に染まらないので難しい作業です。

 

 

 

 

 

 

型の上から生地、染料、模様などに合わせて調合した防染糊を木へらでムラのないように伸ばして

こすりつけます。

グレーのところが糊で、白く抜かれたところに染料が入ります。

糊がつけられた部分には染料が染みこんでいきません。

型1枚分毎に生地を蛇腹に折り畳みながら、同じ作業を繰り返し重ねていきます。

ゆかたの反物1反で型紙約12枚分。2反~3反分を重ねていくので24~36枚分を

綺麗に染める為に均等に生地を折り畳む事はもちろん

写真手前に映っている木へらは重く、均等に糊を伸ばしていく事も大変な作業です。

 

 

 

 

 

 

 

 

上に載せている黒い生地は捨て生地と呼ばれるもので

白い生地が汚れないように上下に敷いて保護するもの。

この捨て生地の上からも同様に糊を伸ばして染めていくので、

捨て生地にはいくつもの型に染められた跡がありました。

 

 

 

 

 

板場で糊付けが終わった反物はくっつかないようにおがくずが巻かれて

重ねられていきます。

 

 

3.紺屋での工程(染色)

 

 

 

 

 

 

 

 

色合わせ・・・様々な染料を使って染色のための染料が調合されます。

 

 

 

 

糊付けされた生地の上から「やかん」と呼ばれる専用の道具に

染料を入れて注ぎ入んでいきます。

写真(左)は下液の染料を掛けているところ。

写真(右)は上液の染料を掛けることで赤い色に発色したところ。

この後下からポンプで一気に吸い込みます。

そうする事で生地に染料が均一に通るのです。

一通り終わると重なったままの生地を裏返し、反対側からも

同じ作業を繰り返します。

こうする事で表裏なくきれいに染まります。

 

 

 

 

 

染料を注ぐための注染専用の「やかん」

関東のやかんはこのように細長いのが特徴ですが、関西では「じょうろ」と言い

関東のやかんより太くて短いのだそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

染め上がり。

この後水洗いに入ります。

4.水元(水洗い)

 

 

 

 

 

写真(上)・・・水元(みずもと)呼ばれるところで重なり合っている生地を1枚1枚はがしながら、糊や余分な染料を落とすための水洗いをします。

 

 

 

 

 

 

写真(下)・・・水洗いしたものを脱水にかける機械で脱水します。

4.乾燥,仕上げ

 

 

 

 

写真(左)・・・「やぐら」と呼ばれる物干しにかけ天日で干します。

 

長い反物を干すのでかなりの高さです!

ロープと梯子を使って干し、天候と生地の乾き具合を見ながらの作業。

 

写真(右)・・・悪天候の時用に室内で乾燥にかけるローラー機械。

5反分は並ぶ幅広さでした。

 

乾燥の後、ゆかたの反物は更に整理屋さんに届けられ、綺麗に仕上げ

られます。

 

 

ご覧の通り工程のほとんどが職人さんによる手作業です。

近年、日本の伝統工芸の素晴らしさがクローズアップされているのと同時に後継者不足の話も多く聞く中で

こちらの染工所は熟練の職人さんと共に女性を含む美術系の学校出身の若い職人さんが作業されているのが印象的で、

弥生屋はとても嬉しかったのです。何より皆さん、本当に格好良かった!!

これらの工程を経て、ようやく弥生屋の元に反物が届きます。

そしてそこから弥生屋が仕立てをしてゆかたに仕上げます。

そのお話は、また今度。

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    阿部たか子 (月曜日, 23 12月 2019 19:05)

    こんばんは。昨日ココラボで、お葉書いただきました阿部と申します。(着物で参りました)

    ブログを拝見しまして、感激しております。秋田にも種を蒔くところから始める方がいらっしゃったのだと。弥生さんの着物への情熱が伝わりました。
    生地から染めまでこだわって、作られたのですね☺️
    この先、いろいろなデザインが増えるのでしょうか?楽しみにしております。
    これを期に宜しくお付き合い下さい。

    阿部たか子

  • #2

    弥生屋 (火曜日, 24 12月 2019 01:20)

    阿部 たか子様
    先日は素敵なお着物姿でココラボさんの展示にお運び頂き、ありがとうございました。明るく温かみのあるお色の江戸小紋が
    とてもよくお似合いでした^-^
    早速ホームページに訪問頂いた事、そして長いこちらのブログ記事を読んで下さりコメントを下さった事に感動しております。
    どうもありがとうございます。
    生地、染め、そして仕立ても・・・全てにこだわりを詰めて弥生屋のゆかたを作成しております。
    そして来年の夏には、新しい柄を新しい色で発表する予定で、今まさに進めているところです。
    今年お披露目させて頂いたラブレター柄のゆかたとも又ぐっと違うイメージのゆかたになるかと思います。
    どうぞ楽しみにして頂けると幸いです。
    展示の案内等もこちらのホームページやfacebook,instagramでもお知らせしていきます。
    こちらこそ、今後とも弥生屋をどうぞ宜しくお願い致します。